ストレスは成長につながる(困難を成功に変えろ!)

心理・健康

何回かにわたってストレスについて解説してきました。強調して言いたいのはストレス自体は悪いものではなく、捉え方や使い方次第で成長につながるということです。

~ゼロストレスがいいのか?~
今の社会ではストレスはないほうが良い。ストレスを減らしていきましょうという風潮です。しかし、ストレスが全くなくてもいいのでしょうか?
心理学者マーク・Ⅾ・シーリーの研究で、トラウマの経験数と健康リスクの関係について相関をとると、トラウマの数が中程度の時に最も健康リスクは低いことが分かりました。
トラウマはストレスのもとになりますよね。体にとってゼロストレスが最もいいのなら、トラウマ数が0のときに健康リスクが最も低くなければなりません。けれど、この研究からストレスはある程度必要であることが分かります

ストレスによってレジリエンスが強化される~
レジリエンスとは、失敗や危機的状況で強いストレスを受けても適応する、そのストレスを跳ね返す力のことを指します。困難なことを経験しストレスに感じた時、レジリエンスが高いとそれを受け入れていくことができます。そして、レジリエンスはストレスを経験することで強化されていくのです。もし、レジリエンスが弱ければ、小さな困難から受け入れていき強化していくと、大きな困難に直面した時も対処することができます。
レジリエンスを強化すると以下のメリットがあります。
・困難なことに対する受け止め方がポジティブになる(考え方の変化)。
例えば、大きな病気になったとき、それによって命のありがたさが分かる。健康への考えが変わるといったことが起きます。他にも、仕事で大きな失敗をした、叱責を受けたといった時にも良い勉強になった、次に大きな成功をつかむための準備期間だといった考えができるようになります。
・耐える力が向上する
苦痛を受けた時にそれを受け入れられる。困難な状況から逃げ出したいと思った時に踏みとどまることができます。

~マーク・D・シーリーによるレジリエンスの実験 (スタンフォードのストレスを力に変える教科書より抜粋)~
実験者にとても冷たい水の中に手を入れてもらうという実験を行いました。すると、過去に多くの困難を経験した人の方が手を引っ込めるのが遅かったということがわかりました。つまり、冷たい水に耐える時間が長かったのです。さらに、あまり困難な経験をしていない人は、入れている間「とにかく早く終わってほしい」「冷たくて痛すぎる」といったその状況を余計に耐えられなくするような考えをしてしまうこともわかりました。レジリエンスが高い人ほど、耐える力があり、耐えられない考え方をしないようにしているようです。

~成長思考の重要性~
どんな状況下でも人は能力を上げていくことができるという考え方を成長思考と呼びます。この考え方をもつことで、困難なことにぶつかった際でも最大限に力を発揮することができるようです。スタンフォードのストレスを力に変える教科書の著者ケリー・マクゴニガルは、困難なことを経験することは決して悪いことではなく、そのときにどうしていくのかが大切であると言っています。困難なことが起きても恐れず、自分の能力が上がるチャンスだ!と成長思考を持つことが大切です。そうすることでやる気が出てきて、誰かのサポートを求める、調べて解決策を探すといった具体的な行動につなげることができます。

~心的外傷後成長~
ここまで読んでいただければ、ストレスに対するイメージもかなり変わってきていると思います。とどめの一発として心的外傷後成長を紹介したいと思います。大きな身体的トラウマ、精神的トラウマのあとに成長することを心的外傷後成長と呼びます。この成長は以下のようなものです。
・人に対する思いやりが深まる。
・自分の困難に対する強さを実感できる。
・今までとは違う考え方を発見し、新しい生き方を模索できるようになる。
・どんなことにも感謝できるようになる。
・自分の人生の価値が高まったと実感できる。
本当に大きなトラウマは辛いものです。けれどもその経験から人として一段と成長できる可能性もあるのです。

ストレスや困難な経験は体験したくないと思うことが今の一般的な考えです。けれども、そこから自分の成長につながると思えば、ストレスも捨てたものではないのではないでしょうか。僕自身もつらいと思うことが多く、そのたびに不幸だとか、寿命が縮まったとか考えていました。しかし、今は違います。むしろそういった経験をすることで、自分のレジリエンスが高まり、成長していけるんだと感じられるようになりました。ストレスが気持ちいいと思う時もあります。もちろん、どんどん困難なことを経験しましょうとか、ストレスで苦しむのは甘えとかそんなことは一切思っていません。けれども、生きている以上はストレスはつきものです。だったらストレスをうまく利用してやろうよということが一番言いたいことです。少しずつ考え方を変えて、幸せな人生を送っていきましょう。
今回の内容は、「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」に書かれています。よかったら是非購入して読んでみてください!

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